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資金調達

元金均等と元利均等:
返済方式の違いが資金繰りに与える影響

2026.08.28
このテーマの全体像 中小企業の資金調達ガイド:融資の種類・銀行の見方・進め方を体系的にまとめた総合ガイド 無料ツール 債務償還年数 計算ツール:いまの収益力で借入を何年で返せるかを確認できます

融資の相談では、金額と金利に関心が集まりがちです。しかし資金繰りに効いてくるのは、「毎月いくら出ていくのか」という一点です。同じ3,000万円を借りても、返し方が違えば毎月の負担も、支払う利息の総額も変わります。ここでは代表的な2つの返済方式を、式と数値例で整理します。

借入は「いくら借りるか」だけでは決まらない

借入条件は、金額・金利・期間・返済方式・据置期間・保全の組み合わせで決まります。このうち日々の資金繰りに直接効くのは、毎月の約定返済額です。

金利が多少低くても、毎月の返済が重ければ資金繰りは苦しくなります。逆に、金利がやや高くても期間が長ければ、月々の負担は軽くなります。条件は単独ではなく、資金繰りへの影響で読むという視点が出発点になります。

元金均等返済:毎月の元金が一定

元金均等は、毎月返す元金を一定にする方式です。利息は残高に対してかかるため、残高が減るにつれて利息も減り、返済額は月を追うごとに軽くなります

元金均等返済毎月の元金 = 借入額 ÷ 返済回数
その月の利息 = 前月末の残高 × 年利 ÷ 12
その月の返済額 = 毎月の元金 + その月の利息

特徴は、返済開始直後がもっとも重く、その後は軽くなっていくことです。元金の減りが早いぶん、同じ金利・同じ期間なら総支払利息は少なくなります。

元利均等返済:毎月の返済額が一定

元利均等は、毎月の返済総額を一定にする方式です。返済額の内訳が、初期は利息が多く、後半になるほど元金が多くなるように組まれます。

元利均等返済月利 r = 年利 ÷ 12、返済回数 n
毎月の返済額 = 借入額 ×{r ×(1+r)n}÷{(1+r)n − 1}

毎月の金額が変わらないため、資金繰り表に載せやすく、計画が立てやすいのが利点です。一方で、序盤は元金の減りが遅く、同じ条件なら総支払利息は元金均等よりやや多くなります。

数値例:3,000万円・5年・年利2パーセントで比べる

仮の条件で計算してみます(説明用の例です。金利は計算を分かりやすくするために置いた数字で、相場を示すものではありません)。借入額3,000万円、返済回数60回、年利2パーセント、据置なしとします。

元金均等の場合 毎月の元金 = 30,000,000円 ÷ 60回 = 500,000円
初回の利息 = 30,000,000円 × 2パーセント ÷ 12 = 50,000円
初回の返済額 = 500,000円 + 50,000円 = 550,000円
最終回の返済額 = 500,000円 + 約833円 = 約500,833円
総支払利息 = 1,525,000円
元利均等の場合 毎月の返済額 = 30,000,000円 ×{0.0016667 ×(1.0016667)60}÷{(1.0016667)60 − 1}= 約525,833円
初回の内訳 = 利息 50,000円 + 元金 約475,833円
総返済額 = 約525,833円 × 60回 = 約31,550,000円
総支払利息 = 約1,550,000円

比べると、初回の返済額は元金均等が約24,000円重く、総支払利息は元金均等が約25,000円少ない、という関係になります。序盤の負担と、総額の負担がトレードオフになっているわけです。

差が小さく見えても、借入本数が増え、期間が長くなるほど、この構造は効いてきます。

据置期間は、負担を消すのではなく後ろにずらす

据置期間とは、元金の返済を始めない期間のことです。その間は利息の支払いが中心になります。

据置期間中の支払い据置期間中の毎月の支払い ≒ 借入残高 × 年利 ÷ 12
(元金は減らないため、残高は据置期間を通じてほぼ一定)

設備投資のように、投資してから収益が立ち上がるまで時間がかかる資金では、据置は合理的な選択になります。立ち上がり前の重い時期を越えるための時間を買う、という位置づけです。

一方で、元金が減らない期間が生まれるため、据置後の返済は重くなります。据置を付けるなら、その期間中に何を達成しておくのかをセットで決めておくことが大切です。

どちらが向くか:資金繰りと収益の形から考える

なお、選べる方式や条件は金融機関や資金の種類によって異なります。希望がある場合は、申込みの段階で資金繰りの見通しとあわせて相談するのが現実的です。

返済計画は、返済原資とセットで確認する

方式を決める前に、そもそも年間の返済額を利益で賄えるかを確かめます。返済に充てられる現金の概算は、次の式で置けます。

返済原資と、返済額との関係返済原資 = 税引後利益 + 減価償却費
年間の約定返済額(全借入合計) < 返済原資 が基本の姿
債務償還年数 = 有利子負債 ÷(税引後利益 + 減価償却費)

減価償却費は現金の出ていかない費用なので、返済原資に足し戻します。年間の約定返済額が返済原資を上回っている状態は、返すために借りる循環に入りやすく、方式の選択以前の論点になります。

借入本数が増えたら、返済表を1枚に束ねる

本数が増えると、月ごとの返済額が把握しづらくなります。次の項目を1枚にまとめておくと、判断が速くなります。

  1. 借入先・実行日・当初金額・現在残高
  2. 金利・返済方式・毎月の約定返済額・最終返済期日
  3. 据置の有無と、据置終了後の返済額
  4. 担保・保証の有無
  5. 月ごとの返済合計額(今後12か月分)

この1枚があると、追加の借入を検討するときに「毎月の返済合計がいくらになるか」を即座に確認できます。金融機関との対話でも、そのまま説明資料として使えます。

まとめ

元金均等は序盤が重く総額が軽い、元利均等は毎月が一定で計画が立てやすい。据置は負担を消すのではなく後ろにずらす仕組みです。どれを選ぶにしても、判断の土台は返済原資で年間の返済額を賄えるかにあります。借入条件を、金利だけでなく資金繰りへの影響で読み直してみませんか。

よくある質問

元金均等と元利均等は、どちらが得ですか?
同じ金利・同じ期間なら、元金の減りが早い元金均等のほうが総支払利息は少なくなります。ただし返済開始直後の負担は重くなるため、手元資金の余裕と合わせて判断します。
返済方式は自社で選べますか?
金融機関や資金の種類によって取り扱いが異なります。希望がある場合は、申込みの段階で資金繰りの見通しとあわせて相談するのが現実的です。
据置期間を付ければ、返済は楽になりますか?
据置期間中は元金の返済が始まらないため、その間の資金繰りは楽になります。ただし元金が減らないぶん、据置後の返済額は重くなります。何のために据え置くのかを明確にしておくことが大切です。
執筆:株式会社diffferent
中堅・中小企業のための財務・経営コンサルティングファーム(大阪市北区)。経営改善計画の策定、事業計画の設計、月次のCFO代行、M&Aアドバイザリーまで、経営者が向き合う論点を継続伴走で支援しています。記事は、実務で用いる考え方をもとに執筆しています。

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