決算は黒字。なのに、消費税の納税月になると資金が一気に苦しくなる——。多くの中小企業が経験するこの現象には、はっきりした理由があります。消費税は、会社の利益ではなく「預り金」に近いお金だからです。この性質を理解し、備えておくことが、資金繰りを守ります。
消費税は、誰のお金か
商品を売るとき、価格に消費税を上乗せして受け取ります。この消費税は、会社の売上(もうけ)ではなく、顧客から預かって、後で国に納めるお金です。会社は、預かった消費税から、自社が仕入などで支払った消費税を差し引いた分を、代わりに納付します。つまり、手元に入ってきていても、もともと会社のものではないお金が混ざっているのです。
なぜ、黒字でも資金が飛ぶのか
問題は、日々の入金に含まれる「預かった消費税」を、運転資金としてつい使ってしまうことです。使ってしまえば、納税のタイミングでまとまった資金が必要になったとき、手元に残っていません。利益は出ていても、預り金を使い込んでいた分、納税で資金が飛ぶ。これが「黒字なのに苦しい」の正体の一つです。
消費税は、預かっているだけのお金。使えば、納税のときに必ず返ってくる。
備え方:納税資金を「別に」取り分ける
対策はシンプルです。売上に含まれる消費税相当を、日頃から別口座に取り分けておくこと。「入ってきたお金の一部は、自分のものではない」と意識し、物理的に分けてしまうのが、いちばん確実です。使えるお金と、預かっているお金を、最初から混ぜないことが肝心です。
納税スケジュールを、資金繰り表に入れる
もう一つ大切なのが、年間の納税スケジュールを資金繰り表に織り込むことです。消費税は、一定規模を超えると年の途中で中間納付が必要になります。法人税なども含め、いつ、どれくらいの納税があるのかを先に見える化しておけば、その月に向けて資金を準備できます。納税は、忘れた頃にやってくる大きな支出です。先読みしておきましょう。
まとめ
消費税は、会社の利益ではなく預り金に近いお金です。日々の入金に含まれる消費税を使い込むと、納税で資金が飛びます。納税資金は別に取り分け、納税スケジュールを資金繰りに織り込む。この2つで、「黒字なのに苦しい」を防げます。納税まで含めた資金繰り、一緒に整えませんか。
※具体的な課税方式や税額は、税理士・税務署にご確認ください。