倉庫に整然と積まれた在庫を見ると、資産が積み上がっているようで安心するかもしれません。しかし、見方を変えれば、それは形を変えた現金が、倉庫で眠っている姿です。在庫の管理は、商品の管理であると同時に、資金繰りの管理そのものです。
在庫は、現金が姿を変えたもの
在庫は、仕入代金を支払って手に入れています。つまり、現金が在庫という形に変わっているのです。売れれば現金に戻りますが、売れない限り戻りません。在庫が増えるということは、それだけの現金が使えない状態になるということ。「利益は出ているのに現金がない」という会社の倉庫には、たいてい答えが積まれています。
在庫が生む、見えないコスト
在庫は、寝かせておくだけでもコストがかかります。
- 資金コスト:在庫に化けた現金は、他の用途に使えない
- 保管コスト:倉庫代・管理の手間
- 劣化・陳腐化:時間とともに価値が下がり、最後は売れなくなる
特に怖いのが陳腐化です。売れない在庫は、資産ではなく、処分待ちの損失になっていきます。
適正在庫は「日数」で考える
在庫の適正量は、金額だけでは判断できません。目安になるのは、いまの在庫が「何日分の販売量」に相当するかという見方です。売れ行きに対して在庫日数が長すぎる商品は、現金を余計に寝かせています。商品ごとに在庫日数を把握すると、どこに資金が滞留しているかが一目で見えてきます。
在庫を1日分減らすことは、その分の現金を生み出すことと同じだ。
減らすのは「動かない在庫」から
在庫削減というと、一律にモノを減らすことと誤解されがちですが、売れ筋を欠品させては本末転倒です。手をつけるべきは、動きの遅い在庫と死に筋。思い切って処分し、発注の仕組みを見直し、売れるものに在庫を寄せていく。在庫の「量」ではなく「中身」を入れ替える発想が、売上を守りながら資金を生みます。
まとめ
在庫はお金です。在庫日数で現状を把握し、動かない在庫から整理し、発注の仕組みを整える。それだけで、借入に頼らず手元資金を厚くできることがあります。自社の倉庫に、どれだけの現金が眠っているのか。一度、数字で確かめてみませんか。
よくある質問
在庫が多いと、なぜ資金繰りが苦しくなるのですか?
在庫は仕入代金を支払って手に入れたものであり、売れるまで現金に戻らないためです。在庫が増えるほど、現金が倉庫に寝ている状態になります。
適正在庫はどう決めればいいですか?
欠品による機会損失と、過剰在庫による資金負担のバランスで決めます。商品ごとの売れ行きに応じて、保有日数の目安を設定するのが基本です。
在庫を減らすと売上が落ちませんか?
売れ筋の欠品は避ける必要があります。減らすべきは、動きの遅い在庫や死に筋です。全体を一律に減らすのではなく、中身を入れ替える発想が重要です。