「3年後にこうなりたい」。経営の場で、こうした目標が語られる場面は多くあります。志を持つことは、経営の出発点です。ただ、その目標を掲げただけでは、まだ計画にはなっていません。私たちがいつも取る方法は、シンプルです。理想から逆算した姿と、いまの手元で届く姿を、両方つくる。そして、その差分を見る。
目標を掲げただけでは、計画にならない
目標から逆算すると、絵はきれいに描けます。必要な売上があり、必要な人員があり、必要な投資がある。数字は整い、資料としては立派に見えます。
けれど、そこには「いまの自社が、そこへ向かえるのか」という問いが抜けています。人はいるのか。資金はあるのか。今日の受注のペースで、そのカーブに乗るのか。この問いを飛ばした計画は、実行の段階で必ず止まります。実行できない計画は、計画ではなく願望です。
いまの手元で、どこまで届くのか
そこで私たちは、もう一枚を必ず作ります。特別な施策を打たず、いまのリソースといまの伸び方をそのまま延ばしたら、どこに着地するのか。いま手元にあるもので届く高さを、先に見えるようにします。
この作業は、正直、気持ちのいいものではありません。理想との落差が、そのまま目に入るからです。それでも先に見ておきます。ここを見ずに立てた計画は、必ず途中で現実に追い抜かれるからです。
差分こそが、打ち手になる
2枚が並ぶと、初めて意味のある議論ができます。理想の姿と、いまのまま進んだ姿。その差分が、これから埋めるべきものです。
差分が見えると、問いは具体になります。人を増やして埋めるのか。単価を上げて埋めるのか。新しい取引を取りに行くのか。それぞれに、いくらの投資と、どれだけの時間が要るのか。「頑張る」ではなく、どこに、いくら投じるかの話になります。
理想と現実の差は、責めるためのものではなく、埋め方を設計するためのものです。
数字にすると、議論が具体になる
この作業を支えているのが、私たちの基本姿勢である数字と事実で語ることです。差分を言葉のままにしておくと、「もっと頑張ろう」で終わってしまいます。金額と時期に落とすと、その瞬間に議論が変わります。
この金額なら投資できる。この時期までなら待てる。ここは今期は見送る。判断は、経営者のものです。私たちの役割は、判断できる状態まで整理して差し出すことです。感覚で決めれば感覚のブレが残りますが、数字で置けば、後から振り返ることもできます。
顧客にも、自社にも、同じやり方で
この進め方を、私たちは顧客の計画づくりだけでなく、自社の計画にもそのまま使っています。理想を描き、現在地を直視し、差分を数字で置き、埋める順番を決める。自分たちが使っていない方法を、人に勧めることはしません。
だから私たちは、自社の伸びしろにも甘い見積もりを置きません。届いていないところは、届いていないと認めるところから始めます。
現在地を見ることは、夢を諦めることではない
現実を直視すると聞くと、志を下げる話に聞こえるかもしれません。逆です。現在地が分かるからこそ、次の一歩を今日踏み出せます。
私たちが大切にしているのは、1日でも1秒でも前へ進むことです。完璧に準備が整うのを待つのではなく、いまの位置から動き出す。そのために、いまの位置を正確に知る。理想から逆算し、現在地から積み上げる。この2つは対立するものではなく、実行する人にとっては、いつもセットのものです。
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